私どもでは中高生を対象として「声優の無料進路相談」を行っています。一般の方には声優という芸能のいち分野について、情報に接する機会は余りありません。なので声優を志望する若者たちは、いったいどうすればいいのか分からず、噂や間違った情報に踊らされてしまう恐れがあります。私どもは、ひとりひとりのお話を伺って、その子にとって一番いいだろうという方法をアドバイスしてきました。
しかし一方で、私どもはいろいろな声優志望者と話をしていて、実はだいたい同じような話をしてもいました。それをここに、「声優を目指すということ」という題でお伝えしようと思います。

どうしたら声優になれる

進路最有力まずは専門学校!?

声優になりたいと思った方がまず進路として考えるのが、専門学校です。専門学校というのは「学校」なので保護者にも話がしやすいですし、「学校」であるのだからきっとためになるはずと思うからです。よくわからない芸能界の、声優という世界に入るための学校というイメージが安心感を与えています。
一般に専門学校は就職(稼ぎ)に直結する専門技術を習得する学校です。美容とか、服飾、機械、医療、福祉などの分野の専門学校は全くそのとおりですし、その分野で働く技術を身につけられ、卒業後はほぼ間違いなく職につき、暮らして行くことができます。

芸能界には就職の概念があてはまらない

それに対し、専門学校が芸能の分野である歌手や俳優などの科目を設けることには違和感があります。他の技術職は技術を身につけることイコールその世界で職を得て食べていけることを意味します。しかし、芸能界は技術を身につけてもその世界で食べていけるようになるか分かりません。極めて不確実ですし、当たる確率の低いギャンブルでしょう。

単純計算

考えてみてください。声優を養成すると謳う専門学校が大手通信教育会社の運営するサイトのリスト(http://minsen.jp/work/M119)をみるだけで30校以上あります。少なく見積もって1校当たり30人の生徒を抱えているとしても、毎年900人の声優が生まれる計算です。毎年900人の新人が皆声優業で生活できるはずはない、ということはわかりきったことです。しかもこれは過小な人数です。全ての専門学校を網羅しているわけでもないですし、他にも声優を養成すると謳う養成所がたくさんあるのです。毎年毎年です!
この単純な計算から分かるのは、学校を出ても「全員が」声優で生活できるわけではない、という事実です。それを踏まえて、夢というのはそういうものだからとリスクを引き受けて、あえてその道を選択する方はまだいい方です。

夢だからいいのか

あえて書かずとも承知の上ということか、「厳しい世界で、これで生活していける方はごく一部です」と、パンフレットに記載している専門学校は無いと思われます。それなのに、この学校を出たら声優になれると単純に思い込んでしまって進路を決める子ども(とその保護者)がいることも確かです。
夢のリスクが、他の専門科目と比べて大きすぎはしないでしょうか。納める学費は同じです。なのに、他の一般的な専門科とは明らかに性質が異なります。これが専門学校に芸能系の専門科を設けることの違和感です。(注)
ちかごろは若者の「夢」をやたらと礼賛します。礼賛するのは大抵その道の成功者で、しょうが無いかもしれませんが少し無責任ではないでしょうか。「夢」を大事にといっても「夢」にもいろいろあって、夢の見方を間違ってしまうと「悪夢」です。声優の場合は成功できるかどうか、当人の努力だけではいかんともしがたい部分があります。単にうまいへたでは言い尽くせませんし、その基準すら曖昧な世界なのです。

参考記事

大塚明夫「声優養成所を過信する若者の危うさ」
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夢の見方、つきあい方

「夢」を追うときには「夢」の中身を把握することが必要です。具体的にどうなりたいかです。「有名声優になりたい」「スター声優になりたい」「声優で稼ぎたい」ということなら、リスクを承知のうえで期限を設けてチャレンジすることが必要です。マイナーな制作・事務所がデビューを誘うようなオーディションとか、変な横道をいかず、誰でも知っている大手事務所の門を直接たたく勇気を持ちましょう。特にデビュー実績を単純な数字だけでうたっているところは危険です。何をもってデビューと言っているのか。そのデビューが何を意味するものなのか。声優が「保証」の無い世界である以上、その数字が無意味であることを承知しておく必要があります。

参考記事

鴻上尚史の人生相談「息子が俳優になりたいと言い出した」

(注)私どものところにも専門学校で学んだという方がこれまで何人か入所してきています。でも声優の基礎的な技術である正確な日本語のアクセントや滑舌などすら、しっかり身につけてないことが多いのです。大金を納めてもらって、いったい専門学校はなにを教えているのかと憤りを覚えてしまします

実際に会って相談にのってもらいたいときにはどうぞお気軽にお申し込み下さい。

声優無料進路相談

【声優をめざしている方】
学生の方(中学生、高校生、専門学校生及び大学生)
※進路相談なので社会人やアルバイトなど、学校に通っていらっしゃらない方は対象外です
※高校生以下は保護者同伴

お申し込み方法

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