春のことです。
春子さんが、夏子さんに、秋子さんの悪口を言いました。
夏子さんは、秋子さんの悪口を言うのはやめなさい、と春子さんをたしなめました。
春子さんは、夏子さんにたしなめられても納得せず、夏子さんのことを非難しました。
夏のことです。
春子さんは、今度は直接秋子さんに、悪口を言いました。
秋子さんは悲しくなって、夏子さんに悲しい気持ちを聞いてもらいました。
夏子さんは、秋子さんをなぐさめました。
秋のことです。
なぜか、秋子さんは、春子さんに、夏子さんの悪口を言いました。
かばってもらったこと、なぐさめてもらったことを忘れてしまったようです。
春子さんと秋子さんはともに、夏子さんの陰口を言いました。
夏子さんは、二人の様子から、気づきました。
夏子さんは、悲しい気持ちになりました。
冬のことです。
夏子さんは、笑顔で、春子さんと秋子さん2人に話しかけました。
春子さんも、秋子さんもぎこちない表情でした。
夏子さんは、気にせずに、笑顔で話しかけました。
春子さんと秋子さんは、夏子さんから優しい笑顔を向けられても、笑顔にはなれませんでした。
夏子さんは、春子さんと秋子さんがかわいそうでした。楽しそうではないからです。2人は、悪口でつながっているからです。
また、春が巡ってきました。
夏子さんは、冬子さんに出会いました。
冬子さんとは、とても気が合いました。
夏子さんと冬子さんは、いつも楽しく笑顔で話し合いました。
夏子さんが、春子さんと秋子さんと話すことは、もう2度とありませんでした。楽しくないからです。
夏子さんは、春子さんと秋子さんよりも、一段高いところに気持ちがあります。陰口を言われても、身に覚えのないことなので、堂々としています。憐れみの気持ちで、春子さんと秋子さんをみています。悪口で結びついている春子さんと秋子さんを憐れに思い、憐れむ気持ちが、慈悲の笑顔になります。慈悲の笑顔を向けはしますが、春子さんと秋子さんと、つきあいたいとは思わないのです。気の合わない人とは、無理してまで、つきあう必要はないのです。
(2013.02.09)