津軽出身の小説家太宰治は、今年生誕100年です。太宰の小説が注目され、映画化されています。私は、10代の頃に「人間失格」などを読みました。今は「きりぎりす」を声に出して読んでいます。

「きりぎりす」は全編女性のせりふです。「おわかれ致します」から最後のせりふ「・・・どうしても、わかりません」まで読むと36分ぐらい。

読むときに大切なのは呼吸。長い呼吸、深い呼吸、腹式呼吸です。36分間腹式呼吸をすると、読み終えた後とても気持ちがよく、爽快感があります。

作品に向かうときに気をつけるのは、手をぬかない。手加減しない。一言一言全力で。自分のすべてを出し切る。頭で考えない。感じたままに。作品に身をゆだねて。自分を信じて。素直に。正直に。神聖な気持ちで。名作に失礼があってはいけませんから。まるで修行のようです(笑)。

作品に自分のすべてをゆだねると、これまでの私にはなかった表現ができることがあります。名作に新たな自分を引き出してもらっているようです。ありがたいことです。

言葉の一つ一つを感じながら素直に声に出していくと、心の内の深~いところが揺さぶられます。涙も出てきます。読み終えた瞬間は、何ともいえない解放感に包まれます。ありがとうございます!とすべてのものに感謝の気持ちを捧げたくなります。

(2009.12.12)