「ありがとう」を声に出すと、心地いいです。和みます。良い空気が流れます。「ありがとう」の響きは、身体に気持ちよく響く、良い音です。いっぱい声に出すと、いい言葉です。

ですが、「ありがとう」だけでは、気持ちが伝わりません。社会人にもなって、ただ「ありがとう」だけ言って会話が終わるのでしたら、味けないです。あまり何も考えていない、まわりのことに気づかない人です。「ありがとう」の次に、何に感謝したいのか、何に心を動かされたのかという、相手を思いやった言葉が必要です。

「ありがとう」を言えば、それでいいわけではありません。本気で人とかかわろうと思うのなら、丁寧に人とつきあいたいと思うなら、話す相手のことを好きならば、「ありがとう」の次に優しい言葉をかけたくなるものです。「ありがとう」の次に言葉が出ないのは、相手のことを好きではない、のかもしれません。それは、話す相手にも伝わります。

お世話になった人になら、別れの際に、「ありがとう」だけでは、ダメですね。幼いです。感謝の気持ち、相手への気遣いを言葉にできてこそ、「ありがとう」の響きが素敵に聞こえるものです。相手への感謝の気持ちが本当にあるのなら、「ありがとう」の次に、自然に優しい言葉が出るものです。

「ありがとう」は、便利な言葉ではありません。「ありがとう」だけ言っていれば、それで解決、嫌われないというのは、自分勝手な思いこみです。「ありがとう」だけで、すべてが解決できるわけではありません。私たちはいつも、相手を思いやって話さなければいけないのです。

(2011.12.12)